ブログ

100点でなければ0点と同じ

rising sun

先日、小学校2年生の男の子で、友達とトラブルが目立ち、担任の先生は本当に困っているということで、相談がありました。
トラブルのもとは、順番のあるものは何でも一番、勝敗のあるものは何でも勝たなければ、自分の気のすむまで続けたり繰り返したりするといったことでした。ドッジボールで当てられても「当っていない」と言い張り、周りから指摘されると大声で暴言を吐き、暴れだす始末。
このお子さんは3歳児健診で多動、ことばや人とのかかわりの問題から、「広汎性発達障害」と言われたそうです。その後、幼稚園では集団参加が困難と指摘されていたが、3年を経ても改善は認められなかったそうです。
一方、相談機関で1対1の指導を中心とした特別の療育を受けていました。相談機関では、小学校への入学に向けて認知学習の指導を受け、数や文字などについては小学校入学に支障のないレベルには到達していました。当時のWISC-Ⅲの結果は、IQ:86で平均の下位にあたるものでした。
ところで、この社会性の育っていない問題は、その原因の一つとして、相談機関の指導が常に100点と「花丸」といった評価を重ねられていたことがあげられます。すなわち、課題が提示され、この子が答える。例えば算数のプリントで誤りがある場合は修正され、最終的には100点と評価点を与え、「よくできました」と褒められ、描画なども不十分なところがあれば指摘し、修正させて「花丸」が与えられ「よくできました」と褒められてきました。
彼にとっては、学校で仮に「90点」をとっても失敗体験となってしまうのです。「三重丸」でも失敗作品なのです。世の中には「70点」でも満足する課題もあり、「三重丸」なら大成功もあることが理解されていません。さらに、こうしたステレオタイプな発想は、3回のジャンケンで2回勝てば大勝利、だけど2回負ければ悔しいけど「次の戦いに勝ってみせるぞ」といった柔軟で文脈のある考えとはならないのです。
温室育ちは、強風も吹く集団生活で生き抜くことは難しい。家庭生活の中でも、ときに(年中ではいけません)冷たい強風に当ててやることも子育てには大切でしょう。