「診断」と「アセスメント」
医学の世界では、正しい「診断」がくだされることはとても大切なことです。それによって薬が選ばれ、その他に安静にしているか、手術が必要かなどが決まってくるのです。
しかし、行動上の問題(孤立、乱暴、保育園や学校に行かないなど)や発達上の問題についてはピッタリと合う特効薬はほとんどありません。
「診断」というレッテル貼りだけでは意味がありませんし、必要ないのではありませんか。
家ではよく話しをする子どもが、学校や保育園ではまったく口を開いてくれません。「選択緘黙せんたくかんもく」という診断をくだされても、そういう病気なんだと感心するくらいです。一瞬、母親は「自分の責任ではなく、病気なのだ」と安心するかもしれませんが、特効薬があるわけではないし、またそれならどうすれば治るのかという手順を教えてもらえるわけではありません。途方に暮れるばかりです。
「自閉症」と診断され、「ゆったりした気持ちで気長に付き合っていく以外にありません」と言われたって何の役にもたちません。
「アセスメント」という言葉があります。これは現在問題となっている行動がどのような条件で生じているのか、場合によっては生まれてこの方の情報から実態を明らかにする。そして、まず何から取り組むかを決め、それに対応した方策を立てることです。
「レッテル」は意味がありませんが、「アセスメント」は重要です。何に取り組めばよいかを示しているからです。適切な経過の評価があれば、結果次第では次の対策を講じることができるでしょう。