強制登校の是非
真面目でやる気満々の先生が、ほぼ1年間登校しぶりでわずかしか登校していない3年生の男の子の担任として取り組み出しました。
早朝に家庭訪問をし、親と一緒に登校準備をさせ、学校に半強制的に連れて行くようにしました。
4月、5月は強制的誘導はあるにせよ、ほぼ毎日登校しました。ところが、6月のある日、子どもの抵抗が強かったのか、暴れたはずみで壁に頭をぶつけてたんこぶを作ってしまいました。その後で男の子は、「頭が痛くて学校へ行けない」と訴えはじめました。お医者さんに行くことを拒否して、「痛い」を登校しない理由として再び不登校となってしまったのです。
一方、母親は担任の行った強制登校を「虐待」だとして教育委員会に訴えました。教育委員会・学校責任者・家庭児童相談室の3者会談が開かれ、担任と親の虐待を主訴として児童相談所に対応を依頼しました。
ところで、不登校状態の改善に「強制登校」は間違いなのでしょうか。この事例の場合は、強制しても登校すれば仲間(同級生)と楽しくつき合い、学習は、不登校によって生じた学習遅延はあるにせよ、先生の配慮で何とか過ごすことができています。
この子の場合のように、学校での「いじめ」とか「学習困難」とか「対人関係困難」などのマイナス要因はないので、家庭への何らかの理由による癒着が問題といえるでしょう。強制登校は問題解決上ベストの方法です。すなわち、「是」です。留意する点としては、学級に誘導された子どもが小さくなって、おどおどして、途方に暮れるようであれば、「学校」に問題があるので強制登校は不適切といえるでしょう。
きちんと調査をして、本当の原因を見つけ出して、その解決を先行しなければなりません。この場合には強制登校は「非」といえます。