「苦手」の意識化
大相撲での取り組みでも通常の位や実力を越えて得意・苦手といった相性の問題が取沙汰されることがあります。
個人的経験ではありますが、30歳前後の若いカウンセラーの時代に自分より年長でしかるべき肩書きのついているクライエントに対して苦手意識が強くありました。心理的圧迫を感じたのです。これではカウンセラーの役目を果たすことは不可能です。30代の中盤となり、自分の肩書きも「助教授」とついた時点で、ようやく年長の男性のクライエントは得意となってきました。
70歳を過ぎても苦手とするクライエントが残ってしまいました。それは中年の「不定愁訴」婦人です。当初は年長女性への抵抗によるものではないかと感じていました。しかし、同年代になっても苦手感は克服されませんでした。
ついに年代的にはカウンセラーとしての自分が年長となり、苦手感を克服できるのではないかと期待していました。しかし、駄目でした。この種の苦手感となると、もっと深い原因がその底にマグマとして屯しているのかもしれません。本態を明らかにしたとき、すなわち意識化できたときに本物のカウンセラーになれるのかもしれません。