Archive for month: 12月, 2013

大晦日にあたり

『カウンセリング』が一般に口にされるようになって60~70年と経過してきました。
カウンセリングというと、「全面的な受容」によって相談にいらした方の「自発的な解決力を甦(よみがえ)らせる」ものと信じられてきました。確かに、普通の悩みや進路の迷いなどには有効でした。しかし、カウンセリングの対象が「いじめ」「不登校」「落ちこぼれ」「発達障害」と拡大してくると、肯定も否定もしない「頷(うなずき)」だけではどうにもならず、「行動変容」「環境変容」が積極的に取り入れられるようになりました。
自律訓練(リラクゼーション)、行動療法(オペラント法)、そして親御さんへの合理的なコンサルテーションなど、いろいろな方法が開拓されてきました。
お子さんの抱えている個別的な問題を解決するためにはどのようなアプローチが適切か、研究所では的確なアセスメントに基づくアドバイスを行っております。来年もよろしくお願いいたします。

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「お世辞・おべっか」と「褒める」こと

こどもの「躾 しつけ」には、「叱る」と「褒める」をうまく使い分けることが必要と言われています。指導・訓練でも同じことが言えます。しっかり「褒めることが大切ですよ」と親御さんにアドバイスすることがよくあります。ところが中には「子どもにお世辞なんか・・・」と難色を示す方がいらっしゃいます。そんなときは、「褒める」から「真心 まごころ」を引き算すると「お世辞」になることを説明することにしています。
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『自閉症』とは?

「自閉症」というのは「閉じこもっている」のでしょうか?

文字通りに見れば「自ら」「自分の殻の中に」「閉じこもっている」ことになるでしょう。しかし、50年以上も「自閉症」の方々を応援してきた経験からすると、初めの頃はいわゆる専門家と言われる人(たとえば精神科医)でさえも「こんなに走り回って元気な子は自閉症ではない」と広言していました。

「コミュニケーション(ことばでも表情・動作でも)がとりにくい、人との関係が作れないという方の中で、その症状が重篤(おもい)であるかどうかを判断しなければなりません。
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緘黙とは

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「緘黙(かんもく)」というのは、全く口を利かないか、または利けないことを言います。先日、専門機関で「場面緘黙」と診断を受けた小学生のお子さんを連れて、ご両親が相談にみえました。「選択(場面)緘黙」というのは、家では普通におしゃべりができるのに幼稚園や学校では口を利けないことです。間違われやすいケースは、他児との交流が乏しいことで集団の場面で引っ込み思案で口が利けないことがあります。これらのケースは、集団に慣れてくれば自然に口が利けるようになります。一方、「選択緘黙」は、同じ保育園でほぼ同じ集団にいて3年間に一言も話さなかった方がいましたが、家では自由におしゃべりしていたのです。
相談にみえた小学生は、予定された発表はきちんとできるし、国語の時間に指名されればしっかりと音読できるとのことでしたので、仲間との会話を援助していけば引っ込み思案は解決するでしょう とアドバイスしました。結局、「場面緘黙」は誤診ということになります。