一人っ子と長男・長女
「長男の甚六」とは、総領息子をあざけって言う どちらかといえば「お人よし」の「ぼんやり」者といったマイナスイメージの慣用語でした。一方、「一人っ子」はわがままで協調性が乏しくなり易いとされていますが、一人っ子で長男・長女となると、恐ろしい世の中になってしまいます。
ところで、「甚六」は本当にどうしようもない「ぼんやり」者なのでしょうか。「お人よし」は本当に悪いことなのでしょうか。
伝統的には、長子には弟や妹の面倒をみる役割が家庭内で与えられてきました。ですから、小さい子どもの世話をすることが得意となったのでしょう。学校の先生、保育園の保育士、医師・看護師など、小さい子、病人などの面倒をみる仕事に就く方も多く、天職と思えるレベルの高い成果を上げることができます。
一人っ子は弟や妹の面倒をみる機会がなく、家庭内では「面倒をみられる」役割が中心となります。適切な仕方で面倒をみてもらえた子どもは、大きくなると自分に対応してくれた仕方で他の人の面倒をみるようになります。ですから、不適切な仕方で対処された子どもは、大きくなって不適切な仕方で他の人の面倒をみてしまうといった危険も生じ易くなるようです。